就労女性の健康チェックリストの作成
本研究班で提案するチェックリストは、代表者が世話人の一人である就労女性健康研究会(https://sites.google.com/view/wwh1999/)が1998年に作成した「男女労働者の職場づくりチェックリスト」が出発点となっています。
このチェックリストには、母性保護の推進、キャリア支援、職場環境・作業環境の改善、職場ストレスなどの領域が入っていました。1970年後半以降に我が国の産業構造が第3次産業に大きくシフトしたため、本研究班では、危険職場以外の一般職域を対象に項目を設定しています。
さらに、時代の流れもあり、女性特有の疾患の労働生産性の問題や、生殖器がんの増加、不妊治療の保健適応の開始、母性健康管理指導事項連絡カードの認知普及の必要性等、女性特有の疾患やライフコースに沿った女性労働者の健康管理の視点を意識して組み入れました。さらに平成28年経済産業省が実施した「働く女性の健康推進」に関する実態調査から、女性労働者への要配慮項目を参照し、就労女性の健康チェックリストたたき台を作成しました。
令和2年から日本産業衛生学会や研究会などで、ステークホルダーから意見を収集し、ブラッシュアップを図りました。当初64項目あったチェックリストは、東京証券取引所上場企業(92社)、秋田県内企業(534社)、インターネット調査(1700社)の労務担当者を対象に、指針点数と職場の正社員や育児休暇から復職する女性労働者の割合と相関のよいものを選択しました。さらに、就労女性3000名を対象に、チェックリストの得点が女性労働者の満足度を上げ、バーンアウト得点を抑制的に下げることを確認し、産業医を中心とする産業保健スタッフ21名、企業11社からなるPPI(Patient and Public Involvement)外部組織委員会の意見を採り入れながら、職場の環境整備(20項目)、妊娠・出産・育児・介護(8項目)、疾病と仕事の両立支援(6項目)の3つの重点領域合計34項目のチェックリストを開発しました(https://www.med.akita-u.ac.jp/~pbeisei/)。